地中海に浮かぶギリシャのクレタ島で、今年(2021年)9月に世界性の健康デーの取り組みが行われました。このイベントは、ギリシャでセクシュアリティ教育を促進している非営利団体AXEPT(アクセプト)が企画をしたもので、AXEPTが世界性の健康デーの取り組みをおこなうのは今年が3年目ということです。AXEPTを代表してDr Margarita Gerouki(マルガリータ・ゲロウキ博士)にお話を聞きました。

※毎年9月4日は世界性の健康デー。性の健康世界学会(略称:WAS、読み方:ワス)が2010年から提唱している記念日で、「性の健康や権利について考えて推進する日」とされています。世界中の性の健康世界学会会員が9月4日前後に自身の住んでいる都市で様々な趣向を凝らした記念イベントを開催しています。東京も第1回目の2010年から毎年参加しています。

楽しく話題を提供し、考えるきっかけもくれる取り組み

ーークレタ島では今年(2021年)、どんな取り組みを行ったのでしょうか?

AXEPTのメンバーが、今年の世界共通テーマである「sexual health in the digital world」に関するメッセージを記載したカード、しおり、ポスターを作成し、学校や街の書店で配布しました。

配布されたしおりの表面(右)と裏面 邦訳は編集部による
配布されたカードの表面 (2種類のカードが配布されたうちの1種類目) 右側の邦訳は編集部による
配布されたカードの表面 (2種類のカードが配布されたうちの2種類目) 右側の邦訳は編集部による 地元レティムノで盛大に祝われるカーニバルの伝統にちなんだ内容になっている
カードの裏面 邦訳は編集部による

また、このテーマに関するウェビナーをYouTubeで無料公開しました。

クレタ島のあるレティムノ市の新聞3紙にもポスターを掲載しました。最後に、街の非常に中心的な場所に、この日のメッセージを書いた大きなポスターを貼り、自撮りをしてこの日を宣伝しようと呼びかけました。

WSHD21 poster Greece

資料とビデオは、ウェブサイトで無料でアクセスできます。

http://frixos.axept.gr/?page_id=1166&lang=el

ーー学校に配布したポスターにはどんなことが書いてあるのでしょうか?また、どんな想いでこれを作ったのでしょうか?

このポスターは、私たちの地区のすべての学校で配布されました。安全にインターネットを利用する際に注意すべきことが、シンプルで楽しい方法で説明されています。

簡単に訳すと次のようになります。

デジタルの世界は物理的な世界の延長線上にあります。私たちは、安全に移動し、コミュニケーションをとる方法を学びます。

1)ネットで読んだことがすべて信頼できるとは限らないので、情報源を確認する。

2)キーボードには骨はないが、骨を折ることはできる。敬意を持って、礼儀正しく、誠実に、オンラインでコミュニケーションをとる。

3)カーニバルの季節には、マスクをした人たちと一緒にいるのがふさわしい。オンラインでやり取りする相手の身元を確認する。

4)デジタルの世界では、善意の人ばかりではない。セキュリティの設定をしっかりと行う。

5)私を不安にさせる権利は誰にもない。ネット上で不適切なメッセージを受け取った場合は、誰か大人に知らせる。

学校にポスターを送る際には先生方に教室の見える場所に貼っていただき、できるだけ頻繁に子どもたちと話し合う機会を設けられるようにしてもらっています。

そして、WASのロゴ、裏面には寄付者のロゴ、私がオンラインで発信するメッセージである「敬意」「礼儀」「誠実さ」を表現しました。すべての資料に、WASのロゴとその日のハッシュタグを入れました。

私たちは何か面白いものを作りたかったのですが、同時に人々が会話に参加できるようなものにしたかったのです。私たち(AXEPT)は教師なので、主に性教育や教育を通じた性の健康の促進に焦点を当てています。同時に、教師として、多くの場合、人々(大人も子どもも)がセクシュアリティやセクシュアル・ヘルスの問題についてオープンに話し合うことがないことを知っていますので、そのような会話のきっかけとなるものを提供したいと考えました。学校の教室や子ども部屋のメモ用紙にカラフルなカードを貼ったり、しおりにしたり、壁にポスターを貼ったりすることで、私たちが本当に達成したいことを常に思い出してもらうことができます。

ーーウェビナーをYouTubeで無料公開したということですが、どんな内容でしょうか?

 40分間のウェビナーで、演者は私(マルガリータ・ゲルーキ)です。私は20年以上、ギリシャとフィンランドで性教育について教えたり研究したりしています。大人(教師や親)を対象とした対面式やオンラインでのトレーニングの経験が豊富です。

今回のウェビナーは、子どもの世話をする大人(親、介護者、教師)を対象としています。テーマは、「デジタル社会における性の健康 – 子どもたちがオンラインで安全に行動し、コミュニケーションできるように支援する」です。

大人はまず、子どもがデジタルレジリエンスを身につけられるようにするために、子どものオンラインプレゼンスの範囲を理解する必要があります。私たちは、子どもたちの性の健康や幸福に影響を与える可能性のあるオンライン上の危険や課題について議論しました。

例えば、ポルノグラフィー(オンラインでのそのような素材の入手可能性、年齢が若いうちにそうした素材を目にしてしまった場合の結果など)、セクスティングやグルーミングについても議論しました。私の経験では、これらの問題を議論する際に、大人は用語や子どもを助ける役割についてよく知らない、あるいは理解していないことが多いようです。

このウェビナーの結論は、子どもたちには情報を持った大人が必要だということです。また、子どもや若者は時としてトラブルに巻き込まれる可能性がありますが、大人との適切なコミュニケーションが、健全な選択と不健全な結果の違いを生むかもしれないということです。

私たちの基本的なメッセージは、子どもたちに寄り添い、彼らの現実を理解しようと努め、尊重した方法でコミュニケーションをとる必要があるということです。

ーー自撮りを呼び掛けたポスターには何と書いてありますか?

レティムノの中心となる場所、港の入り口に貼った大きなポスターには、今年の世界性の健康デーの大きなメッセージ「Sexual Health in a Digital World」と書かれています。2021年の世界性の健康デーに市が参加することを伝え、ウェビナーやビデオメッセージが見られるウェブページを紹介し、このイベントが教育、商業、政治などさまざまな関係者の共同作業であることを強調しています。そして、自撮りをしてメッセージを広めることを呼びかけています。

自撮りを呼びかけたことには2つの目的があります。1つはレティムノがこの日を祝うというメッセージを広めること、もう1つはこの日のメッセージそのものを広めることです。

自撮りを呼びかけた背景には、自撮りが多くの若者を惹きつけ、結果として世界性の健康デーのメッセージを若者たちに広めることができるという考えがありましたが、それに加えて、人々が性の健康について議論することを後押しする必要もありました。

ギリシャの文化では、性に関する適切な議論はいまだにタブーとされています。性教育は許可されていますが十分に教えられてはおらず、大人が子どもと(家庭や学校の授業で)性の問題を話し合うことができないと感じることがよくあります。私たちは今回の活動を、議論の場を設け、コミュニティの中で性と性の健康を目に見えるものにし、人々に会話に参加してもらい、より多くのことを学んでもらうための努力だと考えました。

ーー配布されたカードを受け取ったり、YouTubeを見たりした市民の方たちの反応はどうですか?

ポスター、カード、しおりは非常に好意的に受け止められました。人々は「これは素晴らしいアイデアであり、面白い」と思ってくれました。子どもたちも気に入ってくれましたし、先生方も、デジタル社会における性の健康について話し合うための教材として機能するのではないかと考えてくれました。

街の書店では、この日を祝う一環として、セクシュアリティやセクシュアル・ヘルスに関する他の書籍と一緒にこれらの資料を店内に展示し、顧客に無料で提供することで、社会的責任を果たしていると感じられたようです。これは、この教材の印刷に資金を提供した市の商業会議所の主な主張でした。

パンデミックの間、世界の他の国々と同様に、ギリシャでも遠隔教育や学習が主流となりました。私たちは皆、オンラインで教材を検索したり、ウェビナーを見たりすることに慣れています。私たちのウェビナーは、誰でもアクセスできるようにし、ソーシャルメディアや市の新聞で宣伝しました。肯定的な意見も寄せられました。

とはいえ、チームとしてのAXEPTと私自身は、対面式のワークショップで先生や親御さんに性の問題を教えることに強い存在感を持っていたことを忘れてはなりません。私たちが行ってきた性教育の歴史は、そのウェビナーの推進役としても機能していたと思います。

ーー政治家の方々からのメッセージも届いたそうですね

クレタ島のあるレティムノ県知事のマリア・リオニ氏、レティムノ市長のジョルジス・マリナキス氏、レティムノ市選出の国会議員のジャンニス・ケファロギアニス氏とアンドレアス・ザントス氏から、世界性の健康デー2021に向けたビデオメッセージをいただきました。これらはすべて、さまざまなソーシャルメディアで配信しています。また、ギリシャの教育大臣ニキ・ケラメウス氏は、世界性の健康デーのためにFacebookにも投稿してくれました。これらはすべて今後の展開に期待できる動きです。

悲劇を繰り返さないようにと始めた取り組み

ーー今年が3年目の世界性の健康デーだったということでしたが、過去の2年はいつどんなことをしたのでしょうか?

2019年と2020年にも、世界性の健康デーにちなんだポスターとしおりを配布しました。

2019年には、セクシュアリティ教育に関するさまざまな講演会を開催しました。そのためにクレタ島の大学と協力しました。教師、保護者、大学生を招き、さまざまな性教育プログラム、性教育の価値、そのような努力における教師や保護者の役割について話し合いました。私たちはこの日のプロモーションを行い、メディアからも多くの報道がなされました。

2020年には、パンデミックの時代におけるジェンダーに基づく暴力について話し合いました。当時はコロナ禍のため人が集まることが許されていなかったので(2021年も同様)、市の中心部にスタンドと大きなプロジェクターを設置し、高校生がジェンダーに基づく暴力、同意、平等をテーマにしたビデオなどの映像作品を展示しました。また、男女の平等、尊重、暴力からの保護を訴えるビデオも上映しました。私たちは、市長と県知事をブースに招待しました。市長と県知事にはブースに来ていただき、パブリックコメントをしていただきましたが、報道関係者や一般の方々から非常に好意的に受け止められました。このイベントでは、レティムノにある虐待を受けた女性のためのシェルターの人々と協力しました。

ーー性の健康デーの取り組みを行うのは今年が3年目ということですが、取り組みを始めようと思ったきっかけはどのようなことでしょうか?

全体像をお伝えするには、10年前に遡る必要があります。

2011年、非常に著名なバスケットボールのコーチ兼小学校の教師が逮捕されたというニュースがレティムノに衝撃を与えました。この人物は、36人の少年(11~13歳)を性的に虐待したとして逮捕され、告発され、後に有罪判決を受けました。

虐待は、私たちの目の前で何年も行われていたのです。この事実は恐ろしく、少なくとも衝撃的でした。レティムノは人口35,000人の都市であり、私たちは皆、被害者やその家族と直接的または間接的なつながりがありました。

当時、私は地元紙に記事を書きましたが、「身体や権利、安全な人間関係について教育しなければ、子どもたちを守ることはできない」という当たり前のことを書いていました。逮捕から2年後、自治体が被害者や家族のために設置した匿名のヘルプラインにかかってきた電話は3件でした。それは、私たちのコミュニティが助けを必要としていなかったからでしょうか?それとも、どうやってコミュニケーションをとればいいのかわからない、安心できない、ということだったのでしょうか?

この時期にAXEPTのメンバー4人が出会いました。私たちは全員が教師です。4人のうち、私はセクシュアリティやジェンダーについて議論するのに必要な特別な教育を受けていますが、全員が何十年にもわたって子どもや家族と関わってきました。

2015年に自治体の奨励を受けて、性教育プログラム「Play with Frixos」を開発しました。レティムノの教師や親たちと協力してパイロットテストを行い、学校の授業での普及を開始しました(これらはすべてボランティアベースです)。この活動は、2019年にWAS award on Excellency and Innovationを受賞しました。

この賞は、私たちが粘り強く活動を続け、目的を拡大するための力となりました。性教育の機は熟しており、レティムノというコミュニティがギリシャの他の地域のモデルケースとして機能できると信じています。私たちの不幸な過去ゆえに、私たちは子どもたちに性的に健全な未来を提供しようとしました。私たちは、この傷を良い方向への武器に変えるだけの強さを感じています。そのためには、性教育と性の健康の推進が必要です。

ーーAXEPT以外にもギリシャ国内で世界性の健康デーの取り組みを行っている(あるいは行っていた)団体や個人はいるでしょうか?

ギリシャには、セクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)、LGBTQIライツ(性的少数者の権利)、ジェンダー平等の問題に取り組んでいる非営利団体があります。私たちはそれらの団体を知っており、時々協力もしていますが、これらの団体はいずれも世界性の健康デーの活動には関わっていません。

将来的には、彼らとこの問題について話し合い、全国的な共同活動ができることを願っています。また、彼らがWASに参加してくれることも期待しています。私たちAXEPTは、数ヶ月以内にWASへの加盟申請を行う予定です。

ギリシャのより多くの地域で世界性の健康デーの活動を開始するための主な障害は、時間です。私たちはボランティアベースで活動していますが、家族やその他の私的なことにも時間を割く必要があるほか、学校や大学での本来の仕事もこなさなければなりません。しかし、私は楽観的です。AXEPTは、ビジョンがある限り道は開けることを証明してくれました。

ギリシャでは今、性教育が盛り上がっている

ーー取り組み3年目で複数の政治家の方や大臣にまでメッセージを寄せてもらえるというのはすごいことだと思いますが、何か工夫や働きかけがあってのことなのでしょうか?

先に述べたように、レティムノは性教育を受け入れる準備ができていました。レティムノで開発された性教育プログラムが世界的に評価されたことは、AXEPTの立場をさらに強化するものでした。

今年(2021年)は、ギリシャで報告された性的虐待や暴力の件数が不相応に多かったのです。それがメディアの注目を集めました。ギリシャの#metooイニシアティブが生まれ、多くの人々が体系的な性教育や性の健康促進の必要性をオープンに議論し始めました。首相でさえ、性教育は重要であると公言しました。これは画期的なことでした。

AXEPTは既に活動し実績も豊富にありました。私たちは性教育の必要性を訴えるために、さらに大きな声で投稿し、話し始めました。地元の国会議員は、私たちのことを個人的に知っていますし、私たちの活動も知っているので、彼らの耳に入りやすく、説得しやすかったのです。

今年、教育大臣のニキ・ケラメウス氏が世界性の健康デーのためにFacebookに投稿してくれましたが、これは将来的にとても期待できることです。彼女はどちらかというと保守的な組織の代表なので、この動きには私も驚きました。

ーーギリシャの性教育事情は今どのようになっていますか?

ギリシャでは2000年に保健教育の一環として性教育がカリキュラムに組み込まれました。とはいえ、義務ではなく、事前・事後の教員研修の規定もなく、教員が教えるための教材(本)もありませんでした(これらはすべて、当時の私の修士・博士課程での研究テーマでした)。

その結果、健康教育の中でセクシュアリティやジェンダーの問題について教えているのは3%にも満たない。ギリシャの教師たちは、どのように教えればいいのか、何を教えればいいのかわからないし、非常に大きなレベルでは、問題を起こさずに性教育を教えることができるかどうか確信が持てないでいるのです。

教える上での最大の障害は、正教会のメンバーが伝統的に表明している反対意見です。何しろギリシャの教育・宗教省というところですからね。

これは私たちのギリシャ文化のパラドックスです。私たちは、セクシュアリティはタブーだと思っていますが、高度にセクシュアリティ化された西洋社会に生きており、セクシュアリティのメッセージが至る所にあり、幼い頃から誰もがアクセスできるのです。

教育現場では、セクシュアリティはタブーであるべきではないのです。私たちが戦っているのはこのためです。学校でセクシュアリティについて適切に取り扱わなければ、子どもたちは信頼できない情報源から答えを得ることになるということを、人々に理解してもらいたいのです。

私たちが必要としているのは、「包括的セクシュアリティ教育」です。科学的根拠に基づいた現実的な性教育であり、批判的思考を養うものです。

ーーAXEPTについて教えて下さい

AXEPTは非営利団体です。2019年にギリシャの4人の小学校教師によって設立され、教育とアドボカシー活動を通じて、セクシュアリティ教育とセクシュアリティ・ヘルスを推進しています。

2019年にWAS award on Excellency and Innovationを受賞しています。メンバーはMargarita Gerouki(マルガリータ・ゲロウキ)、Elena Vitalaki(エレナ・ビタラキ)、Athina Triamataki(アティナ・トリアムタキー)、Despina Mavraki(デスピナ・マブラキ)です。

私たちは、包括的な性教育を推進するために、性教育の教材を作成し、性教育に関する教師や保護者のトレーニングを提供し、アドボカシー記事を公開し、メディアにも出演しています。私たちは研究プロジェクトに参加し、エラスムスEUプロジェクトにも応募しています。

ーーMargarita Geroukiさんご自身についても教えて下さい

私は、90年代初頭にギリシャで初等教育の教師としてキャリアをスタートさせました。キャリアのごく初期に、生徒や保護者が、性や人間関係、ジェンダーの問題について適切に話し合う必要性が非常に高いことに気づきました。また、私は教師として、彼らの相談にのる準備がまったくできていないことにも気づきました。

そのため、1999年に移住したフィンランドでさらに教育を受けようと思いました。私は語学教師として働きながら、ユヴァスキュラ大学で健康科学を専攻しました。

2010年にヘルシンキ大学で性教育プログラムに関する博士論文を完成させた後、ギリシャに戻り、教育アドバイザーとして働きながら、クレタ大学で政治学の修士号を取得しました。

私は20年以上にわたり、性と人間関係の教育について研究、指導、調査を行ってきました。このテーマに関する記事や本を出版しています。また、ギリシャや海外で自分の研究を発表してきました。

私は、セクシュアリティ教育の強力な支持者です。先ほど述べたように、私は共同執筆者として、ギリシャとフィンランドの学校で使用されている、賞も受賞したセクシュアリティ教育プログラムを作成しました。

現在、私はユヴァスキュラ大学(フィンランド)の政治学部でポスドク研究をしています。私の研究テーマは、ギリシャの宗教的過激派と、包括的な性教育を妨害する彼らの役割です。 

これからもAXEPTは走り続ける

ーー今後も性の健康の推進に向けて活動をされると思いますが、どんな目標を置いていますか?

私たちは、ギリシャのすべての学校で、セクシュアリティ教育が体系的に実施されることを望んでいます。私たちは、教師や親を教育し、教材を提供しています。セクシュアリティは政治的なものなので、包括的なセクシュアリティ教育を支持する立場をとることが必要だと政治家を説得するために活動しています。積極的に、創造的に、そして断固とした姿勢で取り組んでいます。

ーー具体的な企画として何か考えていることはありますか?

新しいプロジェクトに取り組んでいます。それはSOFiA(Speak Out Fight Abuse)と呼ばれるものです。目的は、スポーツや体育の活動に参加する若者たちの間で、セクシュアリティ、男女関係、性の多様性の問題について、知識を深め、健康的で敬意を払い、虐待をしないという価値観を広め、安全で保護的なスキルを身につけることです。

このプロジェクトは、オリンピック・パラオリンピックの価値観(Inspiration, Respect, Friendship, Equality, Courage, Determination, Excellence)の枠内で設計されており、「International Technical Guidance on Sexuality Education」(編集部注:日本では『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』という書籍として刊行されている文献)(UNESCO, 2019)に示されている教育の目的と目標を取り入れています。

まもなく、レティムノにある3つのスポーツアカデミー(バスケットボール、サッカー、バレーボール)の7人のスポーツコーチを対象に、教材のパイロットテストを開始します。

私たちはこのプロジェクトにとても期待しています。スポーツ界での性的虐待事件は、ギリシャだけでなく他の国でも注目されています。レティムノで36人の少年を虐待したバスケットボールのコーチがいたことを忘れてはいけません。

このような事件が公になるたびに、スポーツ界は悪影響を受けます。一方では、家族は子どものスポーツ参加を躊躇し、他方では、子どもや若者は性の権利や対人関係に関して間違ったメッセージを与えられています。

プロジェクトSOFiAの主な目的は、性的虐待と闘い、子どもたちの権利をサポートするための教育ツールを、スポーツクラブに提供することです。私たちは、コーチやその他若いアスリートに責任を持つ専門家に、セクシュアリティや性的虐待の問題についてトレーニングを行います。また、情報を得た大人は、SOFiAの教材を使ってこれらの問題について話し合い、若い選手やその家族を教育することができます。

ーー最後に、日本の読者のみなさんにメッセージをお願いします

私たちは、ビジョンを共有しています。

Safe Carefree Children! (安全にのびのびと育つ子どもたち!)

性の健康の目標を一つずつ達成して、世界を変えていきましょう!

取材と執筆を終えて

世界性の健康デーには私自身も長く関わってきましたが、他の都市での取り組みについてここまで深く聞いたのは初めてでした。Margarita Gerouki(マルガリータ・ゲロウキ)さんのようなベテランの専門家の方が、豊富な経験の中から今クレタ島に必要だと思う性の健康デーの活動にこうして取り組まれていることは本当に心強いです。

「自分たちが配布したマテリアルを通じて大人と子どもがディスカッションするきっかけを作りたかった」「セクシュアリティは政治的なものなので、包括的なセクシュアリティ教育を支持する立場をとることが必要だと政治家を説得するために活動している」など、いくつものの印象的なお話もあり、たくさんのインスピレーションをもらいました。

世界性の健康デーというきっかけを通じて各都市でこれからも性の健康の推進が図られることを願って止みません。東京も頑張ります!

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