※この記事は2020年6月に別の媒体で公開した記事の再編集版になります。

約20年で変化したことは多い

私が性の健康に関連する活動に初めて足を踏み入れたのは2002年。大学1年生になって(社)日本家族計画協会が活動をサポートするU-COMというインカレ団体に入った時でした。何のご縁か入った時から事務局長を任され、渋谷区エイズデーキャンペーンやライブイベント「Enjoy!CONDOMing!」など数々の企画をおこないました。

月経研究の第一人者である松本清一医師もご存命で、折に触れて様々なレクチャーをいただきました。1994年のカイロ会議プラス10年を記念するICPD+10の国際会議にもユースとして参加する機会を得、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに自分なりに何かの形で携わり続けたい、ライフワークにしたいと思ったのもこのころの経験が大きかったです。

先日ある方から、「長く見てきて、この業界はどう変わってきましたか?」という質問をいただきました。私なりに思うところをまとめてみたいと思います。

【1】活動するユースが変わった

私がU-COMをやっていた頃は、組織の幹部になる人と、ちょこっと役割を与えてもらってちょこっと活動したい人という二極がありました。

今は、「末端としてちょこっと関わりたい」という人が減り、主にソロで活動する人またはメンバーみんなで団体を作ってみんなで幹部をやろうという人に分かれるようになったように感じます。

【2】「年齢で信頼」の概念が変わった

私が性の健康イニシアティブの前身であるLink-Rを開業したのは26歳の時でしたが、その頃は20代というだけで信頼されず、30代に入った瞬間に(自分は何も変わらないのに)一気に信頼され感が増したように感じました。「20代って社会からは信頼されないんだな」と感じた記憶があります。

今は、「性教育の活動をするなら若い人にやってほしいよね」という世論が、20代の活動家をドンドン後押ししています。逆に30代になった私は「もっと若い子にバトンを渡したほうがいいのでは?」と言われる始末。若い世代が「若いから」という理由で否定されなくなったという意味で、本当に良い時代になったと思います。

【3】情報の流れ方が変わった

2000年代や2010年代前半はSNSというもの自体が今ほど存在感がなく、マスメディアがそこからニュースの話題を拾うこともありませんでした。

今はマスメディアがSNSに上がっている話題をニュースにする時代となり、情報の流れ方が変わってきていると感じます。個人がSNSで発信することで以前よりもマスメディアとの結びつきを得やすくなったという変化があるように感じられます。

こうした変化によって【1】【2】で示したような環境が生まれているのではないでしょうか。

【4】マスメディアでも性に関する情報が取り上げられるようになった

2000年代初頭、CS(衛星放送)で、産婦人科医とテレビタレントとAV男優が性に関して真面目に取り上げる番組が放映された時期がありました。マスメディアの中で働いていた友人はその番組を観て、「自分も地上波で性教育の番組を作りたい!」という夢を掲げていましたが、局や上長の「性のコンテンツをやることはできない」という判断を覆すことができず、夢破れてメディア業界を去ることになりました。

今はどうでしょう。「NHKの朝の番組が真正面から性に関するコンテンツを取り上げるなんて!」そんな驚きを伴う番組が放送されるようになりました。時代が変わったことを感じます。これも大きな変化だと思います。

【5】SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)という言葉を使う活動家が増えた

2000年代、2010年代前半は、SRHRという言葉を限られた専門家だけが使っており、私が使っても「何それ?」「また難しい言葉使っちゃって」などと言われていました。

今は使う人が増え、少しずつこの言葉を認知・理解する人が増え始めていると感じます。とてもいい傾向だと思います。

問われる活動家の発信の質

この10年~20年でこのような変化があったことを感じており、様々な人が参入して様々な取り組みができるようになりました。また年齢の若い活動家が年齢が若いからというだけの理由で否定されなくなったことは本当に良い時代になったと思います。

同時に、誰でもが発信できる時代になったからこそ、情報の質が問われるタイミングが来たとも思っています。性の健康イニシアティブは、日本で、日本語で、「性の健康」や「性科学」を広めていくことを目指す団体です。性教育をはじめとする性に関する活動をしている人々にもそうした情報を届けていきたいと思っています。

2021 Previous post 医療系専門職に尋ねられて文系出身の私が答えた日本社会の現在地
JSSS Next post 日本性科学会 第40回学術集会(2021年10月24日@オンライン)